メガネ業界の常識を塗り替える「JINS PC」を生み出したチーム――株式会社ジェイアイエヌ

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目の良い人がメガネをかけてPCに向かう――。そんな光景の職場が増えています。その人たちがかけているのは「JINS PC」。PCなどのデジタルディスプレイが発するブルーライトを軽減するメガネです。

開発したのは株式会社ジェイアイエヌ。昭和63年に創業し、さまざまな試行錯誤の末に世に送り出したJINS PCが、2012年の爆発的なヒット商品となりました。現在メガネ業界でトップの売り上げを誇り、市場の勢力図を塗り替えています。 JINS PCは「メガネ業界にイノベーションを起こしたい」という思いの一端を形にしたものです。プロジェクトチームを中心に、全社員で開発や販売を手掛ける全社一丸の取り組みが実を結びました。

ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会では、誰も見たことのない新たな価値を作り出す同社のチームワークを評価しました。開発秘話やチームワークについて、マーケティング室 矢村功マネージャー、桝原磨里 JINS PC プロジェクトリーダーに伺いました。

「目のいい人に、メガネを」――前人未到の価値を作るJINS PC

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「PCを使っていると目が疲れる……」

JINS PC開発のきっかけは、田中仁 社長の何気ない思いつきでした。知人の医師に相談したところ、「ブルーライト」の存在を知ったのです。「目の疲れの原因となるブルーライトをカットできるメガネは作れないだろうか」。この着想が、JINS PCの開発を推し進めました。

*ブルーライトとは 可視光線の中でもっともエネルギーが強く、眼の奥の網膜にまで届いてしまう青色光(380~495ナノメートル)のこと。体内時計を狂わせたり、目に与える影響が懸念されている。LEDディスプレイの普及により接触する機会が増えている。(出展:http://www.jins-jp.com/jins-pc/bluelight/)

JINS PCが大ヒットした理由は2つあります。1つは「メガネに新しい機能を追加し、メガネを再開発したから」(矢村さん)です。

メガネが発明された13世紀から現在まで、メガネの主な役割は「視力矯正」だけでした。最近でこそファッション性の高いメガネが流行っていますが、用途を聞くと「視力矯正」と答える人が大半です。視力矯正が必要な日本人は6000万人に上ります。全人口の2人に1人がメガネを掛けているという計算ですが、逆に2人に1人はまったくメガネを必要としていないのです。

「目が疲れた時にメガネをかけようとは思わない」(矢村さん)中、逆転の発想を持ち込んだのがJINS PCです。目の疲れを軽減できるという価値を上乗せすることで、「メガネをかけない人にかけてもらえるメガネ」という未開拓市場を作り出しました。

もう1つの理由は「誰もが一度は感じたことがある不便さを解消できる商品だったから」。インターネットが普及し、誰もがパソコンやスマートフォンを使う現在、多くの人はディスプレイに向き合う時間が増えました。それが「目が疲れる」という不満につながっていったのです。

そこに「ブルーライト」という疲れ目の原因を明示することで、目の良い人でもメガネをかけるという習慣を作り出しました。疲れ目をなくしたいという大きなニーズをすくい上げたのが、JINS PCという新商品の価値なのです。

「業界初のメガネを作る」――その高い壁を超えるまで

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JINS PCは製品化までに2年を要し、製品開発よりも長い時間を費やしています。その理由は「業界初の製品だったから」。ブルーライトを遮断するレンズメーカー探しや治験データの収集など、従来のメガネ開発にはない領域に切り込む必要がありました。

特に苦労したのがデータ収集です。「PCに向かうとなぜ目が疲れるのか?」「JINS PCならそれをどれだけ防げるのか?」の答えを医学的根拠とデータで裏付ける。それがJINS PCの価値を伝えることにつながると信じていたものの、治験データ集めの協力を医師から得ることが難しかったのです。
「これにはメガネ屋のビジネスモデルが関係しています。これまでは眼科のお医者様にお客様を紹介していただく立場だったので、まったく新しい依頼がやりにくかったのです」(矢村さん)

しかし、JINS PCに対する信念は揺るぎません。意見を言い合える対等な立場になることを目指し、だからJINS PCに興味を持ってくれる医師を探し、何度も話し合いを重ねました。それが徐々に実を結んでいきます。

「そういうモノがあったら良いよね」。医師の顔つきが変わった瞬間がありました。医師とのやりとりを続ける上で、JINS PCのコンセプトに対する前向きな意見も聞こえ始め、「治験データや商品のアイデアが集まり出したのです」(桝原さん)。

「ブルーライトを約50%カット。ディスプレイをより見やすく」。JINS PCの購入時に、こんな情報を見たことがある人も多いはず。チームメンバーが医師と地道なコミュニケーションを積み重ねて生み出した根拠が、JINS PCを花開かせることになります。

JINS PC開発の裏側にあった“全社員チーム”

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JINS PCの開発秘話で驚かされるのは、開発に携わった人の多さです。
「会社内で開発にかかわっていない人はいないんじゃないかな」(矢村さん)
JINS PCは最初、社長と有志で試作品を作り、方向性が決まった段階でプロジェクトチームを作りました。リーダー、生産、商品企画、流通など、各分野のエキスパートが集まり、商品を開発。マーケティングやプロモーションチームを中心に、レンズ調達やパッケージングなどの生産部門、販売店も巻き込んで開発されたのです。

「どこからどこまでをチームと言うかが難しいですね」と矢村さん。裏を返すと全社員がJINS PCに携わっている。社長の思いつきから始まった小さなチームは徐々に加速度を増し、全社という大きなチームに変わっていきました。

全社員が一丸となって1つの価値を生み出す。社長を中心に広がった全社のチーム力が、JINS PCを世に送り出す原動力になったことは間違いありません。

全社規模でのJINS PC開発に貢献したのが「フリーアドレス制度」です。各々がフリースペースで自由に仕事をすることで、他部署の人との積極的な交流が生まれ始めました。これにより「全社員で開発している」という雰囲気が社内に浸透していったのです。

「全社チーム」と言葉にするのは簡単ですが、それが機能するかは別問題です。フリーアドレスが「セクショナリズムを生まない(排他的にならない)組織作りにつながったことは間違いありません」(桝原さん)。チーム全体としての整合性を高めるには、目的の共有というソフト面、オフィス環境というハード面の両立が必要だったことを株式会社ジェイアイエヌは教えてくれます。

まだ見ぬ新しいメガネの発見に向けて

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「全社一丸となって、メガネ業界にイノベーションを起こす」――。JINS PCのヒットの裏側にあったのは、業界を変えるという高い理想、そして社内外の人を巻き込んでチーム一丸となる求心力です。

「山でいうと、まだ一、二合目を登った程度。イノベーションを起こしたと胸を張れるよう、今後も機能的なメガネを浸透させていきたいですね」と矢村さんは話します。わたしたちが、まだ見ぬ新しいメガネをかける日はそう遠くなさそうです。

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