常にあたらしい「なでしこジャパン」であり続けたい──W杯 準優勝の立役者 宮間あやの想い

常にあたらしい「なでしこジャパン」であり続けたい──W杯 準優勝の立役者 宮間あやの想い
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今年カナダで行われたFIFA女子ワールドカップでは惜しくも準優勝という結果になりましたが、世界大会で3回連続、決勝戦に進出した功績は大きく、日本の女子サッカーの地位を確立させたと言っても過言ではありません。

岡山湯郷Belleに所属しエースとして活躍しながら、代表戦では「なでしこジャパン」を率いる宮間あや選手。2011年にFIFA女子W杯・ドイツ大会で初優勝を収め、日本国民からの注目度が一気に高まるなか、翌年2012年のロンドン五輪では澤穂希選手からキャプテンを引き継ぎ、銀メダルを手にしました。

カリスマ性のある絶対的なエースでもあり、若い選手から神と崇められる澤選手からキャプテンを受け継いだ宮間選手の心境とは、どんなものだったのでしょうか?2015年のなでしこジャパンについて、リーダー観や理想のチーム像について、宮間キャプテンにお話を伺いました。

時が経ってもチームが大切にするベースは変えない

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ドイツ大会のときは "怖いもの知らず" や、“当たって砕けろ”ではないですが、勝ちたいという思いはありつつも、負けられないとは思っていませんでした。今回のカナダ大会では、負けられない、勝たなければならないという、メンタル面での大きな違いがありました。

チームとして口には出しませんが、間違いなく個々ではプレッシャーを感じていたと思います。……今だから言えることではありますが。

ただ、チームのベースは変わりません。なでしこジャパンは「個々の力だけではなくチームとしてどう動いていくか」をとても大切にします。ドイツ大会のとき以上に、ひとりひとりの責任感は、非常に強くなったと思います。

怪我をすると身体の使い方や動き方は多少変わってきますが、前回のワールドカップで優勝してからは、メンタル、フィジカルの両方において支えてくれる人や用具が増え、サポートが厚くなりましたので、そこまで難しくありませんでした。

キャプテンでもチームの一員であり続ける

よく聞かれますが、キャプテンになってから変わったことは、ほとんどありません。澤選手がキャプテンをされていた頃から、一番近くでいろいろなことを教えてもらいました。理想のキャプテン像があるというより、逆に「キャプテンであってもチームの一員であり続けること」が理想です。もちろん、監督や選手同士の間に立つというキャプテンとしての役割はありますが、それはキャプテンではなく誰がやってもいいことだと思っています。

チーム全員が居心地が良く、力を発揮できる環境を作り出すことが、キャプテンの重要な仕事であると思いますが、20人以上の女性が集まり、ましてや、それぞれ能力が高いメンバーが集まっているなかで、それは不可能です。所属チームではスタートメンバーとして活躍している選手が、代表戦ではベンチに座ることもある状況のなかで、それでも個々が自分を出せる場所や時間を持てるようなチームでありたいと思っています。

チームの維持を求めたら終わり

代表チームはメンバーが固定しているわけではありませんので、自分自身も次がどうなるのかはわからないですが、チームとして維持することを求めたら終わりだと思います。

やはり成長や新しい何かを探し続けていないと、すぐに世界の波にのまれてしまいます。“このままがいい”とか、“この状態をどうやって維持していこうか”という発想になってしまった時点で、そのチームはもう先がないと思います。

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私自身は幸いなことに、プロのサッカー選手を意識し始めた頃から澤選手と一緒にプレーをし、苦しみや喜びを共有させてもらってきたおかげで、様々な経験と感情が自然に沁みついていきました。つまり前世代のキャプテンと価値観がある程度一緒になっているようなところがあります。

ただ、これから下の世代が入ってくるときには、育ってきた環境が違うなかで、同じ経験や感情の共有をしていない分、今あるものを継承していくことは、とても難しいことだと感じています。継承より、新たなチームの良さをつくっていくことが、これからのチームには合っているのではないかと思っています。

最前線にいなくてもプライドを失わない

そうですね。サッカーでは途中から出る選手が試合を決定づけることが多いので、常に「自分がチームの一員であり、チームの一員として重要な役割を持っているのだ」と、それぞれが思えるようなチームでありたいと意識し、目配りをするようにはしています。

主要大会で澤選手がベンチに座ることはこれまでなかったので、そこでの彼女の振る舞いや発言、存在そのものが、チームに大きな影響を与えていました。

まず、試合に出ている選手にとっては「澤選手がベンチに座っているのだから、自分たちは絶対に結果を残さないといけない」という思いがありましたし、一緒にベンチに座っている選手にとっては「澤選手が一緒に座っていてくれるのだから、自分たちもサブメンバーとしてできることは、すべてやらなければならない」という思いが強かったのではないでしょうか。
澤選手が途中から入ってきたときには試合を引き締めてくれましたし、カナダ大会でも澤選手の存在感は、圧倒的でした。一緒にプレーしているだけで力が湧いてくるような存在でした。

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自分たちのサッカーを楽しんでほしい

正直に言えば、これからのなでしこを作っていく選手たちは大変だと思います。先輩が築いてきたものが、あまりに大きすぎると感じることもあるでしょう。しかし、それを背負う必要はまったくありません。私たちの世代は、女子サッカーが歩んできた苦難の道を振り返りながら、「先輩たちの思いを届けないといけない」と思いながらやってきましたが、この先の世代にまで、この重い荷物を渡すことはしたくないと思っています。

女子サッカーはチームが潰れたり、存在自体が危ぶまれたりしていたところから、2011年のワールドカップで優勝したことで状況が一変しました。2011年の優勝以降は、“自分たちのまったく想像していない世界に飛び込んでしまった” 感覚でした。女子サッカー自体を維持するための苦労を、下の世代にもまた経験させるわけにはいきません。こうした苦労は、自分たちだけで十分です。

今はチーム数も増えて、リーグが消滅する危機はありませんので、そうした心配をすることなく、存分に自分たちのサッカーを楽しんでもらいたいと思います。

自分のチームを自慢したくなるチームが理想

みんながどう思っているかはわかりませんが、自分にとってはチーム全員ひとりひとりが、他の誰にも代えられない特別な存在で、仲間以上に感じています。

ドイツ大会で優勝してから、密度が濃くて苦しい4年間を過ごしました。国際試合で勝つのが当たり前とされるようになっても、敗戦が続いたり屈辱的な試合をすることもあった。しかし、誰も手を抜かずに、やれることはすべてやってきました。一緒に勝ち上がってきた仲間として心からみんなのことを誇りに思っています。

“自分のチームはこんなチームだ”と全員が胸を張って自慢できるチームが、私の理想のチームです。

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(執筆:野本纏花/撮影:林田悟

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